話題の馬と騎手たちのレースぶり ~フェブラリーS

今年のフェブラリーSの話題の中心は、何といってもJRAの女性騎手初となる藤田菜七子騎手のG1初騎乗でしょう。東京競馬場に行ってきたのですが、明らかに例年より来場者は多く、話題性や盛り上がりという意味では、とても大きな効果があったと思います。

そんな中、予想に当たっては中心となる馬が明確でしたが、その取捨には少なからず迷わされました。そこで中心となる3頭について、予想に当たって迷わされたことと、実際のレースではどうだったのかを、あとあとのためにも簡単にまとめておきたいと思います。

まずは1番人気のインティ。初戦の未勝利を9着に敗れた後は、一気に6連勝で前走G2東海Sを制覇。その合計着差が32馬身で、東海Sも危なげない逃げで、直線は突き放して2馬身差の完勝。
底を見せていない成績は魅力的ですが、一方で1700mと1800mしか経験がなくマイルは初めて。関東圏への輸送もワンターンのコースも初で、未知のことが多いのも事実です。

そこで思い出したのが、昨年のテイエムジンソクでした。テイエムジンソクは2年前にみやこS1着からG1チャンピオンズCでクビ差2着。そして年明けの東海Sを3/4馬身差で逃げ切って、2番人気でフェブラリーSに臨んでいました。1800mが得意で、東京もマイルも初とインティと共通点が多かったのです。
しかしレースでは逃げられずにハイペースの3番手を追走。直線で失速し12着と思わぬ大敗を喫してしまいました。今年は去年ほどペースは早くならないと思われましたが、その結果は引っかかりました。

2番人気のゴールドドリームは、2年前の勝ち馬で昨年は2着。また昨年はG1のみ5戦して2・3・0・0と連対を外しておらず、コース適性も実績も文句なしで、連対を外すシーンは考えにくい存在でした。
懸念としては、6歳馬の連対率が低いことと、3年連続連対した例がないことでしょうか。

そして直前に4番人気に落ちたものの、前日から3番人気を続けていた、藤田騎手騎乗のコパノキッキング。9戦7勝で、カペラS、根岸Sを含む4連勝中。特に勝ち星のなかった1400mで、中団から1番の上りで3/4馬身差1着となった根岸Sは強い勝ち方でした。
しかし1600mは初めてで、また根岸Sに騎乗したマーフィー騎手が1200mがベストと思われ、1600mはあきらかに長いコメントしたことは、距離不安を大きくあおることになりました。

では、この3頭のレース結果を、簡単に分析してみましょう。

まずインティですが、スタートは今一つだったものの、逃げる可能性があったサクセスエナジーが行かないと見ると、自らハナを切ってマイペースの逃げに持ち込みます。
武豊騎手の逃げということもあって競りかける馬もなく、淡々と流れると、4コーナーを回って突き放しにかかります。逃げながらも速い上りを使うという自らの特徴を最大限に生かし、最後はさすがに末脚が鈍ってゴールドドリームにクビ差まで迫られるものの、初のG1勝利となりました。

勝因はやはり600m35.8という逃げのペースでしょう。近3年が、34.1、34.0、34.1なので、いかに遅いかがわかります。マイペースの逃げとなった時点で、ほぼ勝ちは見えたと言っても過言ではないと思います。
東海Sの勝ち方を見ていると、マイペースで行けば強いことは他の騎手もわかっていたと思いますが、先行脚質の馬が少ないこともあり、どうしようもなかったのが実態でしょうか。

次にゴールドドリームですが、5分のスタートを切るものの向こう正面では後方につけます。4コーナーは中団の内を回って直線ではうまく外に出すものの、目標のインティは5馬身ほど前。そこから懸命に差を詰めるものの、残り200mぐらからはなかなか差が詰まりません。残り100mぐらいからインティの脚が衰えて急速に差が詰まるものの、結局クビ差交わせず、昨年に続く2着に終わりました。

ルメール騎手は、ゴールドドリームが早めに先頭に立つとソラを使うことを指摘しており、実際に昨年はゴール直前でノンコノユメに差されて2着に終わっています。そこで追い出しを我慢してゴール直前で交わそうと思ったのでしょうが、予想以上にインティの末脚がしっかりしていたのではないでしょうか。
結果としてはもう少し前目につけて、追い出しも早めれば、交わせていた可能性もあると思いますが、インティの絶妙なペースにやられたということだと思います。

距離不安のあるコパノキッキングは、藤田騎手がどう走らせるか注目していたのですが、ふわっとスタートを切ると最後方まで下げました。
ペースが遅いことはある程度予想していたと思いますが、距離を持たせるために追い込むことにしたのでしょう。4コーナーで大外に出すと、最後方から懸命に追いこんできますが、さすがに最後は脚色が一杯になり、1.0秒差5着に終わりました。

結果からみると、勝つためには中団ぐらいにつけて早めに追い出す必要があったと思いますが、距離を考えて少しでも上の着順を目指すとなると、やはりあの戦法になるでしょう。
しかしパドックでのテンションの高さを見ると、もしかして掛かって持っていかれるのではという懸念も抱いたのですが、輪乗りで落ち着かせてレースでもしっかりと折り合わせたのは、さすがに柔らかな騎乗を評価されただけあると思いました。

一般ニュースでも藤田騎手の女性騎手G1初騎乗が取り上げられるなど、冬季の地味なG1としては思わぬ盛り上がりを見せましたが、ほぼ順当だった結果とともに、よいレースだったと思います。
ダートはこれからは地方の交流重賞がおもな舞台となりますが、藤田騎手とコパノキッキングのコンビが、どれだけ盛り上げてくれるかも楽しみです。

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