馬を見る大切さ ~ホープフルS

2歳戦の場合、キャリアが少なくまた初対戦同士が多いこともあり、比較が難しいと思うことがたびたびあります。それはG1でも同じで、新馬勝ちで出てきた馬が、たとえ初戦の時計が平凡であっても、2戦目でガラッと変わって好走したりするので、油断できません。
そんな場合に、頼りたくなるのが血統ですが、良血だからといって必ずしも走るわけではなく、また距離適性も2歳ぐらいでは完成度の違いの方が大きかったりして、あまりあてにならないように思います。

そんなときに、やはり一番頼りになるのは、自分の目で馬を見ることではないでしょうか。見てもわからないという人がいますが、同じ生き物として、見ているだけで感じることは意外と多いと思います。また長年見ていると、自分なりの基準みたいなものもできてきます。個人的には、理想的なサラブレッド像のようなものがあって、それに近い馬に注目してしまう傾向があります。

今日のホープフルSでパドックを見ていると、13頭の中で2頭だけ抜けてよく見える馬がいました。幼さを感じさせる馬たちの中で、理想的な歩き方で存在感をアピールしていたのです。

1頭目は1番人気のサートゥルナーリア。前走萩Sでは、M.デムーロ騎手がムチも使わず他馬の脚を計って楽勝しているように見えます。しかし時計も上りも平凡で、しかも7頭立ての少頭数では、どれぐらい強いのかはよくわかりません。個人的には、1.8倍のオッズはややかぶりすぎではという危惧を抱いていました。
ところがパドックで見たサートゥルナーリアは、落ち着いて堂々としなやかな歩様で、トモの踏み込みも深く、まるで古馬のような雰囲気を漂わせてたのです。2歳にしてこの大人びた感じは、なかなか見られるものではありません。なるほど1.8倍の1番人気に押すとは、競馬ファンもなかなか見る目があるかなと思いました。

ところがもう1頭、すばらしく見える馬がいたのです。それが2番人気のアドマイヤジャスタ。前走紫菊賞では出遅れながら大外を回ってどんどん進出し、無理やりねじふせるような少し乱暴な競馬で勝ったのですが、やはり7頭立ての少頭数で、かつ幼さを見せており、不安を感じさせる内容でした。
ところがこちらも堂々と落ち着いて伸びやかな歩様で、トモも力強く、前走のレースぶりからは想像できないような大人びたふるまいだったのです。

ということで、この2頭が上位に来るだろうと、レースではこの2頭に注目していました。
好スタートからサートゥルナーリアがハナに立ち、2番手に外からアドマイヤジャスタがつけたのには少し驚きましたが、結局外からコスモカレンドゥラがハナを主張。サートゥルナーリアが2番手で、外に馬体を合わせてアドマイヤジャスタが3番手。向こう正面では、アドマイヤジャスタのルメール騎手が外からプレッシャーをかけ続け、サートゥルナーリアには厳しい展開になります。そしてそのままアドマイヤジャスタは2番手に上り、4コーナー手前では外からコスモカレンドゥラに並びかけます。一方のサートゥルナーリアはコスモカレンドゥラの後ろの内を追走しているうちに、4コーナーでは外からかぶせられて6,7番手。しかし鞍上のM.デムーロ騎手にあわてる素振りは見られません。
直線に入ると、先に仕掛けたアドマイヤジャスタが先頭に立ち、その外に4番人気のブレイキングドーンが並びかけます。サートゥルナーリアも外に持ち出したものの、2馬身ほど差をつけられた4,5番手。しかしそこから伸びて、残り200mで外によれたブレイキングドーンとアドマイヤジャスタの間が空くと、そこを突いて一気に進出。残り100mでサートゥルナーリアはアドマイヤジャスタを交わして先頭に立つと、今回もムチを入れずに1 1/2馬身差で1着。
アドマイヤジャスタもよくがんばりましたが、サートゥルナーリアとは着差以上の力差を感じました。そしてパドックの見た目どおりに、よく見えた馬が1,2着となり、あらためて実際の馬を見る大切さを実感させられたのです。

これでサートゥルナーリアはムチを使わずに無傷の3連勝。底を見せないままクラシックに向かいます。しかし驚かされるのは、種牡馬としてのロードカナロアの力です。初年度産駒のアーモンドアイ、ステルヴィオに続き、これで今年のG1は6勝目。これはディープインパクトの5勝を抑えてトップです。
しかもアーモンドアイに続き、怪物級の強さを見せる馬を送り込んだとあっては、その種牡馬としての価値はますます上がるでしょう。そしてサンデーサイレンスの血を持たない種牡馬として、父キングカメハメハの後継種牡馬の地位も、ますます強固なものになっていくと思います。
来年のロードカナロア産駒の活躍がとても楽しみです。

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