そして最強牝馬へ ~ジャパンカップ

今年のジャパンカップ(JC)の主役は、何と言ってもアーモンドアイだったでしょう。秋華賞を圧倒的なパフォーマンスで勝ってから、古馬との対戦がどこになるかが関心の的でしたが、当初の想定通り陣営はJCを選択しました。
残念ながら天皇賞(秋)を制したレイデオロ、宝塚記念を勝ったミッキーロケット、ダービー馬のマカヒキ、ワグネリアンなどの姿はなかったものの、復活を期すサトノダイヤモンドやスワーヴリチャード、キセキ、連覇を目指すシュヴァルグランなど、古馬牡馬のラインアップは決して楽な相手ではありません。

その中でアーモンドアイは1.4倍の圧倒的な1番人気に支持されましたが、まったく不安がなかったわけではありません。その最大のものは、初の古馬牡馬相手に1番枠からどう戦うかということだったでしょう。
アーモンドアイは好位から進めたオークス以外は後方から差す競馬で勝ってきており、もし内枠で包まれた場合、体の大きな牡馬の圧力を跳ね返して差すことができるのか、また前をふさがれて脚を余す危険はないのか。はたしてルメール騎手はどんな戦術をとるのかが、大きな焦点だったと思います。

そんな中、まずパドックがどんな状態なのかに注目しました。3歳牝馬というと、G1の高揚した雰囲気のためか、テンションが上がってチャカついたり興奮した様子を見せることも多いのですが、アーモンドアイはどっしりと落ち着いて、堂々とパドックを周回します。また馬体の作りもすばらしく、牝馬のひ弱さのかけらも感じられません。その古馬のようなたたずまいに、掛かって暴走するような危険はないことが確信できました。

レースでは、五分のスタートを切ったアーモンドアイを、ルメール騎手は前に行かせます。外から上がってきたキセキ、ノーブルマーズを前に生かせると、1コーナーは3番手と想定よりもかなり前。その後向こう正面では内からノーブルマーズを交わして2番手に上り、包まれる危険を前に行くことで回避しました。
しかし今度は血統的に距離に一抹の不安があることもあって、最後まで持つのかが気になります。そんな中、キセキの作るペースは1000m59.9。速くはないけれども、決して楽なペースではありません。それを3馬身差ぐらいで追走していきます。

そのまま内ラチぴったりでキセキを追い、4コーナーを回って直線へ。直線に入ると、追い出したキセキに対して、アーモンドアイのルメール騎手は手綱を抑えたまま楽についていきます。そして残り300mで1頭分外に出し追い出すと、じりじりとキセキとの差を詰めていき、残り200mを切って先頭。この時点で3番手スワーヴリチャードには5馬身ほど差をつけ、その後方から差してくる馬もおらず、勝ちは確定的。
そのまま伸びて、キセキに1 3/4馬身差をつける完勝で、初の古馬相手のG1を制しました。

ゴールしたあとに掲示板を見たのですが、そのタイムに一瞬ピンときませんでした。ゴール直後はレコード表示はまだついていなかったのですが、表示されたタイムは2.20.6。
芝2400mのレコードタイムといえば、ホーリックスとオグリキャップの叩き合いの末に生まれた衝撃的な2.22.2という2並びが印象的で、それを更新したアルカセットの2.22.1にも驚かされたのですが、それらとあまりにもかけ離れたタイムでかつレコード表示もなかったので、何が起こったのか理解できなかったのです。
その後、時間をおいて点灯した「レコード」の赤文字に、ようやく事態を理解すると同時に、改めてそのとてつもないタイムに驚かされました。こんなタイムで走って、はたして大丈夫なのだろうかと。レコードを1.5秒更新するというのは、とんでもないことなのです。しかも馬場の荒れた開催最後に・・・。

これでアーモンドアイは、牝馬3冠に加えてG1は4勝。現時点で他に複数G1を勝っているのは、高松宮記念とスプリンターズSを勝ったファインニードルだけで、チャンピオンズCと有馬記念で今年のG1馬が勝ったとしても2勝どまり。年度代表馬は確定でしょう。
また3歳時の成績ではジェンティルドンナに並びました。ジェンティルドンナはJCでオルフェーヴルと叩き合ってそれを下し、とっても驚かされたことをよく覚えていますが、アーモンドアイの衝撃はそれを超えるものだと思います。

個人的な牝馬ベスト3は、ジェンティルドンナ、ダイワスカーレット、ウオッカだったのですが、アーモンドアイのパフォーマンスは現時点ですでにこの3頭を凌駕していると思います。史上最強牝馬と言ってもよいのではないでしょうか。
これで今年は終わりのようですが、この最小限のレースしか使わないという陣営の選択もすばらしいと思います。来年はどんな競馬を見せてくれるのか、とても楽しみです。

 

アーモンドアイ
【アーモンドアイ】3歳牝馬とは思えない落ち着きとすばらしい馬体が印象的でした。
アーモンドアイ
【アーモンドアイ】驚異的なレコードタイムでした。
アーモンドアイ
【アーモンドアイ】ルメール騎手の自信に満ちた騎乗も印象的でした。

 

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